公益社団法人 日本水環境学会
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2018年度活動報告

1. 研究委員会名
生物膜法研究委員会
2. 会員数
14名
3. 主な活動内容
第21回日本水環境学会シンポジウム(9月,島根大学)において「有用生物等の浄化機能評価を踏まえた環境保全再生対策技法のアジア展開新戦略」と題するセッションを開催した.
国際的な展開として国内およびベトナム、中国等においては、生物膜法研究委員会で検討した自動制御生物相安定化電力削減高度化AOSDシステム処理技術等が新技術として活用開始され、水環境修復に貢献している。また、生物膜法研究委員会の取り組み状況と今後の開発方向などを日本水環境学会誌で公表した。
生物膜法は、水環境修復技術として極めて重要な位置付けにあることを踏まえ、(公財)国際科学振興財団バイオエコ技術開発研究所、国立環境研究所が中核となって、高度処理浄化槽、電力削減省エネルギー有機性排水処理システム、フロート型植生浄化システムをはじめとする機能調査、構造・維持管理について調査研究を実施している。平成27年度に開始された3年間プロジェクトの「環境省アジア水改善モデル事業」における水環境修復のベトナムへの技術移転は、国際的な研究開発として進展しているところである。本事業は環境省において極めて高い評価を受け更なる開発途上国展開の基盤が構築できた。
4. 今後の予定
第22回日本水環境学会シンポジウム(9月,北海学園大学)において「生物膜機能を応用した「いさはや新池」流域等の環境再生保全のための国内外総合戦略」と題するセッションを開催する.
生物膜法研究委員においては、生態環境における健全な水循環の質的量的確保を視野に入れて、流域保全再生のために、生物膜法を広義の意味としてとらえ、環境低負荷資源循環型省エネルギー高度化システム構築を目途として、震災地域の復興も視野に入れた公共の閉鎖性水域、河川等に流入する汚濁負荷源の生活系、産業系、事業場系等に由来する高濃度排水、生ゴミディスポーザ排水、低濃度汚濁水を処理対象とし、自然再生可能エネルギー利用も踏まえた高度・効率化を目指したコベネフィット型の生物膜技法を導入応用した技術開発評価と効果解析・普及促進に向けて推進することとしている。同時に、アジア地域をはじめとする中国・ベトナム等および国内外を対象として、電力削減型で、窒素・リン除去型で、更には派生汚泥の資源化循環リサイクル可能型の流域保全再生健全化に貢献できる、高度化生物膜技法を国際的な環境再生保全に貢献できるようにすること目的としている。
すなわち、水環境保全再生において、生物処理工学としての有用微生物を活用した微生物固定化、包括固定化、自己造粒法等の重要な技法の省エネ・温室効果ガス削減のバイオエンジニアリング、更に生態工学技法としての植生浄化、土壌浄化等による緩衝帯技術導入による水域の水質向上を目途としたエコエンジニアリングと、これらの組み合わせ技法のバイオエコシステムの広義の活性汚泥法とを組み合わせた生物膜法システムを研究開発・評価対象として、バイオエコシステムの国内外展開を目的として基礎的応用的観点に立って、その高度・効率化を目指した更なる新たな研究展開を取り込み、研究活動を強化することとしている。
更に、微生物生態系からなる生物膜法等を活用したシステムにおける、生物反応に必要とされる必要酸素量を最小限にするISO国際標準を取得したAOSD(Automatic Oxygen Supply Device)システム技術、電力削減・温室効果ガス削減・水質の超高度化、汚泥の減量化農業有効利用方策等のコベネフィット型技法の開発評価を、環境省アジア水環境改善モデル事業におけるプロジェクトの成果と連携して強化推進実施し、水環境再生保全のシステム技法を国内外に定着させることを重要な位置づけとしていくこととする。同時に、生物反応の高度効率化のために、経験と勘に頼るマニュアル法の限界を踏まえて自動制御の導入方策に関する検討も推進していくこととする。生物膜法の高度化の基盤を更に強化推進するために、日本環境整備教育センターで生物処理の国際展開を図る検討委員会を設置して実施する体制を確立し、検討を開始したところである。
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