公益社団法人 日本水環境学会
水環境懇話会 活動報告

第46回水環境懇話会 議事録(平成30年12月20日)

平野 実晴氏
神戸大学大学院 法学研究科
日本学術振興会 特別研究員PD

 第46回水環境懇話会では、「水にとってのSDGs」をテーマに、神戸大学大学院法学研究科に日本学術振興会特別研究員PDとしてご所属の平野実晴氏をお招きした。現在、世界のホットトピックであるSDGs(Sustainable development goals、持続可能な開発目標)について、主に水の観点から、その仕組みについて、また我々がSDGsを如何に取り扱うべきかについてお話しいただいた。その後の質疑応答では参加者との活発な意見交換が行われた。

1.経歴紹介

 国際法が専門で、「水のグローバルガバナンス」に関する研究を行われてきた。2017年度末に京都大学で博士号を取得され、現在は、神戸大学大学院法学研究科に日本学術振興会特別研究員PDとして所属されている。引き続き、水の観点から、SDGsをはじめ、様々な国際的制度について研究されている。
 国際水協会(IWA)の活動にも精力的に参加されており、大学院在籍時には、IWA本部で特任研究員として世界の国と地域の規制に関する調査に従事された。また、2018年9月のIWA世界会議(於 東京)では、プログラム委員を担当された。現在は、JAPAN-YWPの総務委員であり、「水×SDGs」をテーマとしたワークショップや勉強会を開催されている。

2.講演及び討論内容

 SDGsの概要と仕組み、水に関するSDGsのポイント、SDGsの「主役」についてご説明いただき、最後には我々がSDGsをどう取り扱うべきかについて、メッセージをいただいた。

①SDGsの概要と仕組み
【概要】

 SDGsとは、MDGs(Millennium development goals、ミレニアム開発目標、2000~2015年)の後継として、2015年9月の国連総会決議70/1「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された「国際目標」、「行動計画」である。
 SDGsは「我々(≒国の代表)」が決めたものであり、SDGsにおいては「世界を持続的かつ強靭な道筋に移行させるために緊急に必要な、大胆かつ変革的な手段」を実行しなければならない。

【経緯と仕組み】

 MDGsはトップダウンで決められた目標であるとの批判があり、SDGsの採択にあたっては、オープンワーキンググループが設置され、そのグループは「開放性、透明性、包摂性(inclusiveness)、コンセンサスの原則に従って、作業しなければならない」とされた。ステークホルダーが幅広く参加したワーキンググループの会合が計13回行なわれた後、SDGsは合意に至った。
 SDGsでは、望ましい未来を定め、そこからバックキャスティングする形で17のゴールが定められ、続いてそのゴールを具体化するための169のターゲットが定められ、そのターゲットの進捗をモニタリングするための232の指標が定められた。
 SDGs策定後も、国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)や参加国内で、定期的に進捗状況をフォローアップとレビューをする機会が設けられており、目標を達成するための強固な仕組みができていることも大きなポイントである。

②水に関するSDGs

 ゴール6が「水・衛生」に関するSDGsであり、すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保することを目標としている。SDGsでは人権等の観点から「誰一人取り残さない」ことを誓っており、例えばMDGs・ターゲット7Cでは「2015年までに、安全な飲用水と基礎的な衛生施設を継続的に利用できない人々の割合を半減する」としていたものを、SDGs・ターゲット6.1では「2030年までに、すべての人々の、安全で負担可能な価格の飲用水の普遍的かつ衡平なアクセスを達成する」としている。
 なお、水に関するSDGsはゴール6に主に記載されているが、水循環の観点から、ゴール11「都市」やゴール14「海洋資源」などにも水に関連する記載があり、「相互関連性(interlinkages)」を意識する必要がある。

③SDGsの主役

 SDGsの主役はだれ(どこ)か?という問いに対する答えはいくつかある。
 日本国としては、内閣にSDGs推進本部が設置されており、注力する取組みなどが定められているが、実質的にSDGsを実施するのは地方政府・自治体となると考えられる。また、民間企業の関与もSDGsの達成に不可欠である。
 さらに、過去のHLPFでは、ターゲットの進捗管理のための「質の高いデータ」が足りないとの意見が多く出されたこともあり、統計局や研究者の存在も極めて重要である。

④メッセージ(Call for action!)

 SDGsは理想論ではなく、「我々」の「行動計画」である。よって、SDGsの実施には予算がつき、逆に、SDGsに反すると批判を受けかねない。また、SDGsは「我々」の「変革のための手段」である。よって、SDGsは具体的行動の指針となり、各国・各人が協力するための共通言語となる。
 水に関わる者たちはSDGs「を」水で考えるのではなく、SDGs「で」水を考えてはどうだろうか?

 質疑応答では、「民間企業はSDGsをどう扱えばいいのか?」という問いなどに対して活発な議論がなされ、講演者からは「SDGsのロゴを既存の活動に貼り付けるだけの活動にしてはならない」、「企業のビジネスのドライビングフォースにしてほしい」、「投資家に向けたアピール材料となるのではないか」などの意見が出された。より具体的なアイデアなどがあれば、逆に企業側から意見が欲しいとのコメントもあった。
 また、他に以下のような質疑などもあり、会は熱を帯びたまま終わりを迎え、意見交換会へと繋がっていった。
 ・ターゲットの目標値決定までのプロセス
 ・ターゲットの進捗管理の方法

<参考サイト>

・SDGs knowledge Platform
 http://sustainabledevelopment.un.org/
・JAPAN SDGs Action Platform
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/
・UN-Water
 http://www.unwater.org/
・Japan-YWP(「水×SDGs」勉強会開催中)
 http://www.japan-ywp.site/

講演の様子
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